PCのトラブルシューティングと復旧は、IT管理者にとって常に重要な課題です。従来の復旧手法に加え、Microsoftが提供を開始した新しい回復機能であるPoint-in-Time RestoreとCloud Rebuildは、インシデント対応の迅速化と効率化に貢献します。
※この機能は2025/11/21以降のWindows Insider Programにて公開されその後正式にOSに搭載されます。
ここでは、これらの新機能が従来の復旧方法とどう異なり、どのようなシナリオで最も効果を発揮するのかを解説します。
Point-in-Time Restoreは、ユーザーのPCを過去の特定の「正常な」時点の状態に巻き戻すための機能です。
| 復旧方法 | 動作の概要 | 主な課題(従来) / 強み(新規) |
|---|---|---|
| システムの復元(従来) | OSが作成した復元ポイントに戻す。 | 復元ポイントの信頼性に欠け、対象がシステムファイルやレジストリに限定される。 |
| Point-in-Time Restore (新規) | システムとアプリの状態を過去の「正常な」状態に正確に戻す。 | データの保持とシステム状態の復元を両立できる点が強力。アプリケーションの整合性を高精度で復元する。 |
Cloud Rebuildは、PCのOS全体をクラウドからダウンロードした最新のイメージで上書きし、完全にクリーンな状態に再構築する機能です。
| 復旧方法 | 動作の概要 | 主な課題(従来) / 強み(新規) |
|---|---|---|
| ローカル初期化 (工場出荷時) | PCに内蔵されたリカバリ領域のイメージを使って初期化する。 | イメージが古い、リカバリ領域の破損リスクがある。 |
| USB/メディアインストール | 管理者が作成したISO/USBメディアでOSをクリーンインストールする。 | メディアの準備と管理の手間、手動での企業設定の適用が必要。 |
| Cloud Rebuild (新規) | クラウドから最新のOSイメージをダウンロードし、再構築する。 | Intune/Autopilotとの統合が強力。OS再構築後に自動的に企業設定が適用され、手間なくユーザーに渡せる(ゼロタッチ)。 |
Point-in-Time RestoreとCloud Rebuildを組み込むことで、復旧フローを最適化できます。
| ステップ | ユーザー/IT管理者の判断 | 推奨される復旧方法 |
|---|---|---|
| レベル 1 | システムは起動するが不安定/特定のアプリが動かない | Point-in-Time Restore (最速・データ保持優先) |
| レベル 2 | システム設定をリセットしても問題が解消しない | Cloud Reset (「個人用ファイルを保持する」オプションの初期化) |
| レベル 3 | OSが起動しない/ブルースクリーンが頻発する | Cloud Rebuild (OSの完全な再構築) |
| レベル 4 | ハードウェアの故障が疑われる | デバイス交換/修理 |
これらの新機能は、IT部門の工数削減とエンドユーザーの迅速な業務復帰に直結する強力なツールです。ぜひ社内の復旧プロシージャへの組み込みをご検討ください。