販売管理の専門部署

軽減税率が議論されています。システム屋では変更需要が発生してうれしいかも知れませんが、ユーザー側では納税時や伝票の管理においては複雑になり海外の様にインボイスが必要になりシステム変更、運用人件費などのコストの増加になります。低所得者対策と言われていますが私にはそうは思えません。また販売管理システムや生産管理システムでの処理はより複雑になります。日本のように原料を輸入して加工品を輸出するような国では事務処理は簡素化する方が良いように思います。

さて販売管理システムと言う言葉はよく聞きますが、販売管理課、Sales Management Team、というような専門の部署を設置している会社は少なく、また営業部門、管理部門、監査部門に属したり各社まちまちです。業務課、販売促進課、営業管理として設置されている会社もあります。販売管理システムは販売管理規程の定める仕入規定、売上規定、在庫管理規定、与信管理規定、計上、出荷に関する各種規定の管理ツールとしての機能を要求されます。

IPO監査に置いては証券会社、監査法人にとって便利な部署になります。特にカットオフ監査では重要な働きをします。販売管理課やSMTの責任者は商法を勉強した方がいいでしょう。最低でも基本原則は理解する必要があります。在庫に関しては食肉業界では個別法、低価法の適用が多いようです。

個体識別番号の管理

国産牛には牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法と言う長い名前の法律によって個体識別番号から生産者情報が特定できるように生産者、流通業者、小売業者に記録などを義務づけています。つまり流通段階では入出庫記録が全て記載された個体識別番号台帳が必要になります。小売店へ行くまでには数社の業者を経由しますのが仕入れた段階でロットごとに情報を記載します。一方で偽装防止のために農水省や消費者庁のGメンが抜き打ちのDNA検査をしています。

個体識別番号管理

 

 

 

 

 

特に原料を投入して加工工場にカットや包装を依頼する場合には販売であっても委託加工同様に管理が必要です。この販売管理システムはさまざまな機関の検査を受けた個体識別番号管理の標準機能を搭載しています。顧客からの問い合わせ、得意先への個体識別番号明細の発行、原料投入などのトレースが瞬時にできるように設計されています。

チェックデジット機能  ロック機能各種 (ユーザーが勝手に番号変更できない  二重登録チェック他)

セットばらし

輸入原料(例えば牛肉)の場合、商社や卸会社ではたいていは直接輸入や他の商社経由で仕入れることになります。例えばオーストラリアからではチルドビーフフルセットは12部位(これ以外もあります)に分かれます。国内の食肉卸ではセットで輸入元から仕入れて牛肉を部位ごとに単価を決めて「セットばらし」(システムでは振替)を行います。フルセットの商品原価を部位ごとの商品原価に振替えます。

 
IPO監査では、「部位ごとの評価の客観性、評価変更の社内ルール、振替前後の評価額の一致」などを指摘され販売管理システムの変更を行いました。従来のエクセルでの管理は監査上ダメだそうで、セットばらし機能と連携した部位ごとの売上(予約売上)、在庫(つなぎ状況)の管理機能を要求されました。

重量精算とは

食肉業界では輸入原料を売買するときに「概算」と言われる取引をします。文字通りアバウトな重量で売買をします。輸入原料の場合、実際に重量を量ってみると誤差あります。例えば1コンテナでは18,400kgでケース数は840c/sぐらいになります。1ケース当たり500g違っても最大420kgの誤差が発生します。 ここまで説明すればおわかりと思いますが、概算で商売して後ほど(出切ってから)正確な重量がわかってから精算すること重量精算または出切精算と呼んでいます。

重量精算

正確な重量を量るタイミングは冷蔵庫から出庫される時にケースごとに行われます。このとき冷蔵庫業者は荷主に対して確定重量を報告します。荷主はこの重量で売り先に請求を行います。上記のことから840c/sすべて冷蔵庫から出庫(出切るとも言います)して概算18,400kgに対する確定重量が算出されます。出切るまで数ヶ月~2年ほどかかる時もあり概算取引は記録に残しておく必要があります。 具体的には確定重量が18,700kgでしたら仕入れ先に対して300kg分の請求依頼を行い「重量精算」を行います。販売管理システム内部ではこのときに概算から確定になります。また実際の取引は少し複雑になって名義変更、部分出庫などが発生します。このシステムでは瞬時に検索し外部冷蔵庫(外冷)に対して送付する出切確認依頼書、仕入、売上先様に送付する出切重量精算依頼書を発行できます。この精算は取引条件に関係なく直近の決済日にて精算します。

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重量精算処理の操作マニュアルはこちら

販売管理システムと消費税

消費税アップの法案が通りました。変更時期はまだ先のようですがシステム管理者にとってはどのように消費税が変更されるか心配な所です。低減税率になりますと原料と包材で税額が違いますので大がかりなシステム変更が必要になります。現在のGSC販売管理システムには一律の税率機能はありますが、税率変更は十数年使用していない機能ですので「動作検証」と場合によってはプログラムの一部変更が必要になります。動作検証は多岐に及びますのでチームで対応して1週間ほどかかります。自社で生産管理や販売管理システムを構築している会社では早めにシステム会社に相談することをお勧めします。

販売管理システム 取引先マスタ

システム会社にとっては忙しくなっていいのですが、期限までに変更しないと業務に支障が出ますので消費税の変更が決定したらすぐにシステム管理者は保守契約先のシステム会社(サプライヤ)と打ち合わせして要員を押さえるようにします。日頃から保守契約を結んでいるところでは優先対応してくれますが、契約の無いところでは後回しになります。 税率切り替え当日はシステム管理者は自動化しても徹夜作業になりそうです。