与信管理機能の開発

商売が現金取引でしたら問題は無いのですが、継続した取引の場合1ヶ月分などをまとめて後日振込などで代金を受け取ります。振込までの期間は取引先を信用して商売をすることになります。この期間の取引総額の上限を与信限度額として設定しその範囲で商売を行います。相手を信用して納品するわけですので信用を供与することになります。

食肉業界は利益率の低い商売と言われていますので与信事故が起こると被害は甚大ですので大手食肉商社からの仕入は審査部などを設置して口座を開くことすら容易では無く、現金取引から開始し、供託金などを納入して信用を積んでやっと与信限度額が提示されます。一方、中小業者の販売の場合はある程度リスクを承知でも商売をしなくては成り立ちません、コロナウイルス感染拡大影響による倒産のニュースを聞くと連鎖して影響受ける会社の事が気になります・・・

この販売管理システムでは債権債務の一元管理機能を搭載していますので与信管理機能と連動して様々な機能があります。一元管理のメリットはリアルタイムで売掛、買掛残高算出機能(債権債務管理機能)によって動作する警告アラート、入力制限、相殺反映の有無などの管理が可能になっています。

中小の会社では与信管理は社長の仕事と言えるかも知れません、融資を依頼するのも社長、最近では少なくなってきましたが個人保証するのも社長です、そのために自社の債権債務をリアルタイムで見える化することが重要と思います。この機能は開発時に過去の自分の個人保証経験を踏まえて設計しました。

二重入力の解消に向けた取り組み

食肉会社で今なお多くの会社で経理と営業、販売部門との間で二重入力が発生しています、また営業、販売部門でも仕入と売上で同じ内容を何度も入力する作業が行われています。この販売管理システムでは徹底した二重入力解消を目指して改修して仕入、売上では「取引伝票入力」と言う仕入と売上が同じ行で処理できる仕組みを開発しました。ロット番号、商品名、ブランド、規格、個体識別番号、原料原産地、賞味期限、ケース数、重量などは一度の入力で仕入と売上に反映される仕組みです。

債権債務の管理では入金、支払い処理、消し込み処理を一元管理して勘定奉行などの経理系ソフトへ連携が可能で、二重入力の必要はありません。入出金消し込み処理後の債権債務残高は最新の状況で銀行別の支払い予定、入金予定表なども出力できます。どこまで管理するかによりますが標準で上記の機能を搭載しています。一元管理は必要な時に正確な情報を把握できるというメリットがあります。この業界ではエクセルとの二重入力解消ができていない会社は多く改善が望まれます。

システムの冗長化について

食肉卸会社向け販売管理システムは改良を重ねて元帳計上以外に毎日のデリバリー業務には欠かせなくなってきました。出庫依頼、配送依頼、デリバリー明細書、納品書など毎日多くの印刷や色々な処理を行っていますので故障時の対策は重要です。オンプレミス運用の保守先各社には業務停止時間を最小限にするため空のコールドスタンバイサーバの設置をお願いしています。迅速にスタンバイサーバを立ち上げ業務再開が出来るように開発会社と共に準備をしております。

ホットスタンバイ環境も可能ですがコストとリスクを検証する必要があります。

https://rjoo.info/wp2/2023/08/03/%e9%a3%9f%e8%82%89%e5%8d%b8%e5%90%91%e3%81%91%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e7%ae%a1%e7%90%86%e3%82%b7%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%a0%e3%83%91%e3%83%83%e3%82%b1%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%81%ae%e7%89%b9%e9%95%b7/

外部冷蔵庫、運送会社への各種依頼書の発行

出庫依頼や配送依頼をエクセルなどで作成して送付している食肉会社は未だに多いようです。商売が決まったらすぐに出荷手配をしますがこの組み合わせは色々あります。この販売管理システムは外冷、自社冷、自社便(自社の配送便)、外部運送会社への依頼書、仕入先や外冷まで商品を取りに行って指定された納品場所までの配送指示、複数納品場所の指定、外部冷蔵庫への出庫依頼などを印刷または配信(オプション)をします。

食肉卸では外部(自社)冷蔵庫出庫時に確定重量がわかります。入出庫、配送手配は原料の場合はケース数で手配を行い確定重量が届いてから計上、納品書発行をします。この販売管理システムは受注から納品書発行までの一連の処理をわかりやすく共有管理できます。依頼書などが印刷済みかどうかなど細部にわたり現状を見える化していますので全国の営業事務処理を一ヵ所に集約することができます。

仕入先の在庫をそのまま販売するいわゆる「つなぎ商売」では仕入、売上計上を容易に行えます。上記機能には不正防止対策を講じており運用ルールとセットで各監査法人の監査においても適正との評価を受けています。

販売管理の専門部署

軽減税率が議論されています。システム屋では変更需要が発生してうれしいかも知れませんが、ユーザー側では納税時や伝票の管理においては複雑になり海外の様にインボイスが必要になりシステム変更、運用人件費などのコストの増加になります。低所得者対策と言われていますが私にはそうは思えません。また販売管理システムや生産管理システムでの処理はより複雑になります。日本のように原料を輸入して加工品を輸出するような国では事務処理は簡素化する方が良いように思います。

さて販売管理システムと言う言葉はよく聞きますが、販売管理課、Sales Management Team、というような専門の部署を設置している会社は少なく、また営業部門、管理部門、監査部門に属したり各社まちまちです。業務課、販売促進課、営業管理として設置されている会社もあります。販売管理システムは販売管理規程の定める仕入規定、売上規定、在庫管理規定、与信管理規定、計上、出荷に関する各種規定の管理ツールとしての機能を要求されます。

IPO監査に置いては証券会社、監査法人にとって便利な部署になります。特にカットオフ監査では重要な働きをします。販売管理課やSMTの責任者は商法を勉強した方がいいでしょう。最低でも基本原則は理解する必要があります。在庫に関しては食肉業界では個別法、低価法の適用が多いようです。