ロット別在庫管理

食肉卸の在庫管理は社内ロットで管理するのが一般的です。同じ商品名でもブランド、規格、キリング、原産地、賞味期限、個体識別番号、単価などが違いますので仕入時に新しい社内ロットを採番します。出庫時にはロット番号を指定して売上計上します。一つの商品名で検索すると画面には会社規模、商品にもよりますが数百行になることもあります。そのため操作性の良い様々な絞り込み条件の搭載が必須になります。

在庫管理では社内ロットの他に棚卸し管理用として冷蔵庫別、部署別、担当者別の情報のほかに滞留在庫情報、賞味期限管理、個体識別番号情報が瞬時に見える事が必要です。また仕入れ漏れ、売上漏れ、数量違い、不正などが棚卸しによって発見できるようなシステムで無ければいけません。

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食肉卸会社の社内売買

社内売買をご存知でしょうか? 大きな会社ではよくある処理です。その目的は部門ごとの業績評価です。例えば支店、製造、販売などを部門とするとそれぞれがどれだけ利益を上げているかを見える化します。特に工場などの製造部門と販売部門がある場合は必須の処理です。会計上では未実現の利益の把握、運用面では在庫管理(期末在庫)がしっかりできていないと部門管理に対応した販売管理システムを導入しても意味がありません。食肉卸では毎日多くの商品が入出庫されますのでより運用面で計上基準などの社内ルールよって帰属(実現主義の運用を想定しています)を明確にする必要があります。 “食肉卸会社の社内売買” の続きを読む

販売管理の専門部署

軽減税率が議論されています。システム屋では変更需要が発生してうれしいかも知れませんが、ユーザー側では納税時や伝票の管理においては複雑になり海外の様にインボイスが必要になりシステム変更、運用人件費などのコストの増加になります。低所得者対策と言われていますが私にはそうは思えません。また販売管理システムや生産管理システムでの処理はより複雑になります。日本のように原料を輸入して加工品を輸出するような国では事務処理は簡素化する方が良いように思います。

さて販売管理システムと言う言葉はよく聞きますが、販売管理課、Sales Management Team、というような専門の部署を設置している会社は少なく、また営業部門、管理部門、監査部門に属したり各社まちまちです。業務課、販売促進課、営業管理として設置されている会社もあります。販売管理システムは販売管理規程の定める仕入規定、売上規定、在庫管理規定、与信管理規定、計上、出荷に関する各種規定の管理ツールとしての機能を要求されます。

IPO監査に置いては証券会社、監査法人にとって便利な部署になります。特にカットオフ監査では重要な働きをします。販売管理課やSMTの責任者は商法を勉強した方がいいでしょう。最低でも基本原則は理解する必要があります。在庫に関しては食肉業界では個別法、低価法の適用が多いようです。

個体識別番号の管理

国産牛には牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法と言う長い名前の法律によって個体識別番号から生産者情報が特定できるように生産者、流通業者、小売業者に記録などを義務づけています。つまり流通段階では入出庫記録が全て記載された個体識別番号台帳が必要になります。小売店へ行くまでには数社の業者を経由しますのが仕入れた段階でロットごとに情報を記載します。一方で偽装防止のために農水省や消費者庁のGメンが抜き打ちのDNA検査をしています。

個体識別番号管理

 

 

 

 

 

特に原料を投入して加工工場にカットや包装を依頼する場合には販売であっても委託加工同様に管理が必要です。この販売管理システムはさまざまな機関の検査を受けた個体識別番号管理の標準機能を搭載しています。顧客からの問い合わせ、得意先への個体識別番号明細の発行、原料投入などのトレースが瞬時にできるように設計されています。

チェックデジット機能  ロック機能各種 (ユーザーが勝手に番号変更できない  二重登録チェック他)

セットばらし

輸入原料(例えば牛肉)の場合、商社や卸会社ではたいていは直接輸入や他の商社経由で仕入れることになります。例えばオーストラリアからではチルドビーフフルセットは12部位(これ以外もあります)に分かれます。国内の食肉卸ではセットで輸入元から仕入れて牛肉を部位ごとに単価を決めて「セットばらし」(システムでは振替)を行います。フルセットの商品原価を部位ごとの商品原価に振替えます。

 
IPO監査では、「部位ごとの評価の客観性、評価変更の社内ルール、振替前後の評価額の一致」などを指摘され販売管理システムの変更を行いました。従来のエクセルでの管理は監査上ダメだそうで、セットばらし機能と連携した部位ごとの売上(予約売上)、在庫(つなぎ状況)の管理機能を要求されました。