社内システム管理者のみなさん、日々のネットワーク管理お疲れ様です。
社員から「個人のスマホをWi-Fiに繋ぎたいんだけど」「お客様用にネット環境ないの?」と聞かれるたびに、「うちはセキュリティポリシー上、禁止です」と断る……。そんなやり取りに、少し疲れていませんか?

「余計な穴を開けたくない」「管理対象外のデバイスなんて入れたくない」。その気持ち、痛いほど分かります。システム管理者として当然の防衛本能です。
しかし今日は、あえて少し未来の話をさせてください。 実は、「ゲスト/個人用SSID(Wi-Fi)を開放することこそが、社内ネットワークを鉄壁にする」という、パラダイムシフトについてです。なぜ「入れる」ことが「守る」ことになるのか。その理由を3つのポイントで前向きに考えてみましょう。
- 「見えない接続(シャドーIT)」を可視化する
私たちが一番恐れるべきは、実は「管理下にあるWi-Fi」ではなく、「管理者が知らない通信」です。
Wi-Fiを全面禁止にしていても、社員は個人のスマホでテザリングをしたり、ポケットWi-Fiを持ち込んだりして、業務PCをネットに繋いでしまうことがあります。これは、私たちの監視の目が行き届かない「裏口」が空いている状態です。
そこで、あえて公式に「ゲスト/個人用SSID」を用意します。
社内LANとはVLANで完全に切り離す(インターネットに出るだけ)
認証ログを残す
こうすることで、アンダーグラウンドで行われていた通信を、管理可能な「表の通り」に誘導できます。「どうぞここを通ってください」と道を作ることで、裏道を塞ぐのです。
- 「混ぜるな危険」:分離こそが最高の防御
「個人のスマホがウイルスに感染していたらどうするんだ!」 その懸念はごもっともです。だからこそ、業務用PCと同じネットワークに繋がせないために、専用のSSIDが必要なのです。
現状、なし崩し的に業務用SSIDのパスワードを教えてしまっているケースはありませんか?それが一番のリスクです。
業務用SSID: 社内サーバーやプリンタにアクセス可。会社支給PCのみ。
ゲスト/個人用SSID: インターネットのみアクセス可(クライアント分離機能をON)。社内リソースへは一切アクセス不可。
このように「土管(インターネットへの出口)」だけを提供することで、万が一ゲスト端末が汚染されていても、社内システムには指一本触れさせない環境が構築できます。これは、流行りの「ゼロトラスト」の第一歩でもあります。
- 本質的な業務への集中と、UXの向上
「繋げない」と断るストレス、こっそり繋いでいる人を見つけて注意するストレス。これらは、本来私たちが注力すべき「システムの改善」や「DX推進」の時間を奪います。
専用SSIDを設置し、QRコードを会議室に貼っておく。たったこれだけで、以下のようなメリットが生まれます。
来客対応のスマート化: お客様にスムーズにネット環境を提供でき、会社のブランドイメージが向上します。
社員の満足度向上: 休憩時間に動画を見たり、自身のスマホで調べ物をしたりする際の「ギガ不足」を解消。福利厚生的な側面も持ちます。
管理者の負担減: 「繋ぎたい」という問い合わせが激減します。
技術的なハードルは、実は高くない
「でも設定が面倒くさそう……」と思われるかもしれません。しかし、最近の法人向けアクセスポイントやUTMは、驚くほど簡単に「ゲストポート」「ゲストWi-Fi」の設定が可能です。
VLANでネットワークを論理的に分割する
ゲスト用VLANからは、社内IPアドレス帯への通信をFirewallでDropする
帯域制御(QoS)をかけ、業務通信を優先する
基本はこの3つだけです。一度作ってしまえば、運用はほぼ自動です。
結論:攻めのセキュリティへ
ゲスト/個人用SSIDの導入は、セキュリティの「妥協」ではありません。むしろ、守るべきものを確実に守るための「積極的な隔離策」です。
「禁止」で守る時代から、「分離」して安全に共存する時代へ。 私たちの情シス業務を少し楽に、そして会社全体を少し便利にするために、この「前向きなセキュリティ強化」を検討してみませんか?
