月次更新の必要性について

このシステムを導入されている会社の管理者の方と会うと「システムがリアルタイムで無い」「計上が遅い」などとよく言われます。今時リアルタイムで無いシステムを探すのは難しいですが、その原因は他にあります、私たち食肉卸売業で1日~2日計上が遅れても、経営上に大きな影響があるとは思えません、この業界でリアルタイムとは、現状を月次ベースで正確に把握し、課題を抽出することと思っています。毎日数千行の処理がされるシステムですので、日々でリアルタイム運用を求めるのはオーバースペックです。また負荷が大きく、営業は特に日次〆処理に多くの時間を取られます。基幹システムでは社内ルールを遵守することでリアルタイム運用を実現できますが大手でも数社ぐらいしかできていません。理由は取引先にも負担を強いる形になるからです。

食肉卸会社向け販売管理システムでは月次更新を行いますとデータがロックされる仕様になっています、ユーザー側では更新後に前月のデータを変更する事はできませんので訂正は当月に赤黒伝票を入れることになります。そこまでしてなぜ月次更新が必要なのでしょうか。

1.経営状況のリアルタイム把握
月次更新を行うことで、売上、利益、在庫状況などの経営指標を毎月正確に把握することができます。これにより、経営状況をリアルタイムに把握し、迅速な意思決定が可能になります。例えば、売上が低迷している場合は、販促活動の強化や商品戦略の見直しなど、早急な対策を講じることができます。

2.財務諸表の作成
月次更新で集計されたデータは、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表の作成に利用されます。財務諸表は、企業の財務状況を外部に示す重要な書類であり、資金調達や投資判断などに活用されます。

3.税務申告の準備
月次更新で把握した売上や経費などのデータは、税務申告にも利用されます。正確な税務申告を行うためには、毎月正しいデータを更新しておくことが重要です。

4.業務効率の向上
月次更新を徹底することで、月末の締め作業の負担を軽減することができます。また、データの精度が向上することで、請求書発行や在庫管理などの業務効率も向上します。

まとめ
販売管理システムにおける月次更新は、経営状況の把握、予算管理、財務諸表の作成、税務申告、不正防止、業務効率の向上など、様々なメリットをもたらします。企業にとって重要なタスクであることを理解し、確実に実行することが重要です。電子帳簿保存法で定められた要件を満たすためには、「真実性」と「可視性」を確保することが必要になりますが月次更新により「真実性」を確保します。

月次更新をスムーズに行うためのポイント

販売管理システムの設定を適切に行う
入力漏れや誤入力、不正を防ぐための仕組みを導入する
定期的にデータの確認を行う
必要に応じて、外部業者に整合性確認を依頼する
月次更新を適切に行うことで、企業の経営をより効率的かつ効果的にすることができます。

在庫カードの電子化

食肉卸における在庫管理の課題と電子化の難しさ

食肉卸業では、同じ品名でも仕入先や仕入価格が異なるケースがほとんどです。そのため、ショートプレートなど商品名は同じでも社内ロットを付与して個別に管理する必要があります。システム画面ではショートプレートがいくつも表示されます、営業担当者は利益によって評価されるため、仕入価格の低いロットを探して引当を行う傾向があります。

2000年ごろ以降では、システムの進化により深夜のバッチ処理ではなく、すべてリアルタイムで処理されるようになりました。つまり、売上を入力すれば在庫がリアルタイムで減る仕組みです。それゆえ一日数千行の処理を行う大企業では、データベースにオラクルを使用するケースもあります。

先日、システム説明のためにとある会社を訪問した時に「リアルタイム更新は可能ですか?」という質問を受けました。システム自体はリアルタイム更新に対応していますが、運用に時間がかかるケースが多いことを説明しました。これは、商売成立からシステムへの入力までにタイムラグが生じることを意味します。商売成立、外冷手配、配送便手配、確認書送付、納品書発行など、多くの手順を経るため、このタイムラグを解決しない限り、どんなシステムを導入しても結果は同じです。

在庫カード

在庫カード電子化の現状と課題

在庫カードの電子化は、食肉卸業界にとって解決できそうでできていない難しい課題です。最も早いタイミングである商売成立時点で即時入力を行い、システムからケースのみを在庫から引き当て、その後確定重量や単価などの情報を入力して納品書などを発行する方法も考えられます。しかし、現状では商売成立から数日後に入力依頼が上がってくるケース、先入れ先出しで無く仕入単価の安いロットを指定してくるケースなどこのような運用では到底在庫カードの電子化は難しいでしょう。

システム構築のポイント

システム構築には、会社の規模も重要な要素となります。全国に支店、出張所、関係会社があるような会社でも、得意先がエリア区分されている場合は、紙ベースの在庫カードで十分対応可能です。システム構築には費用がかかりますので、システム管理者は自社のニーズをよく調査した上で依頼する必要があります。

結論

運用の問題をシステムで解決することは重要ですが、根本的な解決には営業担当者による商売成立時の即時入力の徹底が不可欠です。この徹底が実現できれば、在庫カード(引当原票)の電子化も見えてくるでしょう。

部課別売上集計問い合わせ メニュー番号 B-30、B-31、B-32 (2023年 OPTION UPDATE)

部課別の売上、重量、粗利を前年同日比ベースで当月、前月、前年を一覧で表示する画面をオプションアップデートしました、瞬時に同日比ベースで比較ができるので売上、計上状況を確認することができます。食肉卸でよく使用される部位別振替にカーソルを合わせるとセットばらし明細など部位別評価金額や得意先別情報ウインドウが開きます。全社の状況を一覧から明細までシームレスに表示します。

部課別以外にも得意先別はB-31、担当者別はB-32にて詳細を過去8年間のデータから確認できます。詳細マニュアルは実装時にお渡しします。なおこのシステムには全てのデータをCSVデータに出力する機能があります。

重量精算の新しいメニュー

重量精算に関わる業務の効率化として、一つの画面から複数の処理ができる「重量精算入力」という新しい処理画面を作成しました、原料の概算取引の多い会社向けの機能です。細かなカスタマイズも可能ですので導入の検討をお願いします。(オプションにて提供)

システムの操作ログ

今でこそ少なくなりましたが食肉業界では産地偽装、賞味期限改ざん、社内での横領などさまざまな不正行為がありました。最近では退職した社員から時間外賃金の請求訴訟など様々な問題が発生しています。この業界のシステム監査では産地偽装、賞味期限改ざんができないシステムかどうか調査されます、上場企業に中には「ワンライティング」で一度入力したら変更できない仕様になっている会社もあります。

不正防止対策をすればするほど可用性が損なわれ「使いにくいシステム」と言われますので会社、規模によって調整が必要になります。このシステムにはメニューごとにアクセス権の設定、パスワード使用履歴、システム操作履歴を搭載していますので誰がいつ何をしたのかを確認することができます、またこのデータは変更削除は一切できないようになっていますので証拠として裁判などに提出可能です。この機能は使用している会社の上場審査時に監査法人から指摘され実装しました、標準機能として実装しています。確認できるのは初期値で管理者のみです。セキュリティでもそうですが可用性と制御・制限との調整が重要になります。